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光と色の魔法

秋も深まってきたこの季節、
紅葉はもちろん、絵本でも
色を感じてみてはいかがでしょう。

"Memmo och Mysen söker efter färger"
(「メモとミーセンの色さがし」
Emma Virke 作・絵 Alvina社)

表紙


夜です。
メモとミーセンが目をさますと、
あたりは、どこもかしこも真っ暗。
色は、いったい
どこにいってしまったのでしょう?

でも、懐中電灯で照らすと
ほら・・・

夜の闇


色は、かくれているだけなんです。

さあ、メモとミーセンといっしょに、
いろんな色をさがしに出かけましょう。


太陽がのぼりはじめると、
空の色が、むらさき色から、
すみれ色、ライラックの花の色、
ブルーベリー牛乳の色へと
移り変わっていきます。

夜明け

そして、
一面、燃えるような朝焼け!

日の出


海の色は、
あお? みどり?
でも、水をすくってみると、
色はありません。

海の水


霧が出てきて、
あたりは真っ白。
にじも
白く見えています。

白いにじ


今日の色さがしはおしまい。
もう、寝る時間です。

でも、ミーセンは
まだ起きていて、
日がしずむのを眺めています。

おやすみの前

真っ暗になって、
色たちが眠りにつくのを
見届けると、
「おやすみ、色さん。
また、あした」


色がかくれているという
発想がユニークで、
刻々と移り変わる空の色の描写は、
なんとも美しく、圧巻です。

この絵本の季節は、
おそらく夏のころ。

日に日に、日がのび、
空の青が見える時間も、
ずいぶん長くなります。
夜9時、10時でも
まだ日はしずみません。

メモやミーセンたちの
眠る時間でも、
外は明るいのです。


でも、これからの季節、
スウェーデンは、
日がどんどん短くなっていきます。
午後3時には、もう暗くなってしまい、
夜が明けるのも、ずいぶん遅くなります。

朝8時ごろ(11月半ば)

スウェーデンの朝焼け(朝8時ごろ)

日が短いぶん、
光や空の色の変化が、
より敏感に感じられるように
なるのかもしれません。

スウェーデン人は、光をとても大切にします。

部屋のあちこちに、
ろうそくの明かりをともし、
幻想的な空間を演出。

学食の明かり

私が通っていた学校の食堂。
テーブルや窓辺に
明かりがともります。

とてもやさしく、おだやかな光に、
心が落ち着きます。


しかし、実際に生活するとなると、
けっこう大変。

冬の暗い部屋の中で、
ろうそくの明かりだけで過ごすのは、
なかなかつらいものがあります。

冬休みに滞在させていただいた、
友人宅のお母さんは、
「暗くて見えないわ」と
ぶつぶつ言いながら、
本を読んでいました。




(絵本の写真は、作者の許可を得て掲載しています。)


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テーマ : 本の紹介
ジャンル : 学問・文化・芸術

プロフィール

きただい えりこ

Author:きただい えりこ
スウェーデンに留学し、児童文学と文芸創作を学ぶ。
現在は、小学校の司書をしながら、スウェーデンの絵本・児童書の翻訳と紹介を行っている。
よみうりカルチャー荻窪教室「絵本で学ぶスウェーデン語」講座元講師。
日本の絵本・児童書をスウェーデン語に翻訳し、スウェーデンで紹介もしている。

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