あけましておめでとうございます。
今年も、すてきな絵本を
いろいろ紹介していきたいと思いますので、
どうぞよろしくお願いします。
今年はじめの一冊は、
"Nyårslandet"
(「はじまりの国」
ぺトラ・サーボ 作 Norstedt社)
ここ、はじまりの国では、
年が変わる夜の0時に、
賢者たちが集まって、
魔法をかけることになっていました。
来年も、
何も変わることなく過ごせるように、
国に魔法をかけるのです。
ところが、その年、
魔法をかけわすれてしまった
賢者たちにかわって、
一人の女の子が魔法をかけると・・・

国は、すっかり変わってしまいました。
女の子がねがった通りの、
楽しい、あそびの国になったのです。
子どもたちは、大よろこび。

でも、大人たちは、
会社も車もなくなってしまい、
とほうにくれています。

そうこうするうち、
一年がすぎ、
ふたたび、
大みそかになりました。

ようやく、
魔法をかけなおし、
もとの国にもどしましたが・・・

これが、本当に、
もとの国?
みんな、
以前の暮らしをすっかり
わすれてしまっていたのです。
子どもたちの
あそび場はなくなり、
大人たちは、
しぶしぶ仕事にでかけました。
みんな、
ちっとも楽しくありません。
いったい、
どうしたらいいでしょう。
あそびの国に
もどすわけにもいかないし・・・
何とかしよう。
みんなは、
知恵を出し合いました。

それから、
穴をほり、種をまき、家をたて、
自分たちの手で、
いろんなものをつくりはじめました。
自分たちでつくるのが、
こんなに楽しいなんて!
まもなく、国はいきいきとして、
みんなは、うれしくなりました。
もう、魔法なんか
必要ありません。
何でも自分たちで
できるんですから!
この、
「何でも自分たちでする」
という考えは、
スウェーデンの暮らしに
よく表れています。

図書館の本の貸出や返却も
セルフサービスが基本。
こうした自立した考えが
浸透している背景には、
移民たちの存在も
一役買っているのかもしれません。
故郷を離れ、新しい土地で
生き抜くためには、
自ら前に進む力が必要です。
この力を、
現状に対する不満ではなく、
問題の解決に向けること、
また、そうできる環境を
社会全体で整えていくことが
大切なように思います。
スウェーデンは、これまで
積極的に移民を受け入れてきましたが、
今、移民受け入れに反対する動きが
広がってきています。
移民たちが、スウェーデン社会の財政を
圧迫しているというのです。
みんながそれぞれ
できることを行い、
協力しあって、
暮らしをもっと
よりよいものに変えていく。
この絵本に込められたメッセージが
実現する年になりますよう。
それでは最後に、
スウェーデンのお正月について、
少しお話しします。
お正月は、やはり
どこの国でもおめでたいもの。
クリスマスほどではありませんが、
スウェーデンでも、
新しい年の訪れを祝います。
時計が、
年の変わり目の
夜0時をうつと
あちらこちらで、
花火が上がり始めます。

実は、この花火も
セルフサービス。
なかなか本格的で、
りっぱな花火ですが、
となり近所で、各人が
勝手に上げているそう。
なんだか危ない気もしますが、
そこは自己責任というのも
スウェーデン流なのかも。
お正月には、
こんなごちそうもあります。

ロブスター!
・・・と思いきや、
パイ生地で作った、
ロブスターもどき。
中身は、サーモンのムニエル。
友人のお母さんのお手製です。
「何でも自分でつくろう」精神、
こんなところにも表れています。
(絵本の写真は、作者の許可を得て掲載しています。)
スポンサーサイト