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住む場所を追われて

今年もはじまりました
スウェーデンおはなし旅ブログ。

今年も、わくわくするおはなしから
考えさせられるおなはしまで、
いろんなおはなしを通して、
スウェーデンの今を
伝えていきたいと思います。


さて、この冬、
日本では暖冬といわれていましたが、
このところ、寒さがもどってきました。

スウェーデンでも、
今年に入ってぐんと冷え込み、
ようやく冬らしくなってきたようです。

雪のスウェーデン
(写真:雪景色のスウェーデン)

寒さの影響と、
昨年11月から難民受け入れに
制限をもうけはじめたことにより、
スウェーデンにやってくる
難民たちの数は、
今年に入って
めっきり減ったそうです。

この寒さの中、
行くところのない人たちは、
どんなに大変な思いを
していることでしょう。


今日ご紹介するおはなしは、
"Katitzi"
(「カティッツィ」 
Katarina Taikon 作・
Joanna Hellgren 絵 
Natur & Kultur社)


Katitzi 表紙

主人公は、
カティッツィという名前の女の子。
お父さん、お姉さん、お兄さん、
まま母とその子どもたちと
暮らしています。

カティッツィたちはテント暮らし。

冬のある日、
カティッツィたちのテントに、
立ち退きを命じる手紙が届きます。
一家はテントをたたんで、
町を追い出されてしまいました。

雨の降る寒い夜の中、
レストランからも、宿屋からも
断られ、追い出され、
ようやく見つけた場所に
テントを張りますが、
毛布もまくらも
雨でぐっしょりぬれていて、
カティッツィたちは、
こごえながら夜を過ごします。

ぐしょぬれの毛布にくるまって

どうしてこんな差別を
受けるのでしょうか?

実は、
カティッツィたちはロマ人で、
ロマ人という理由だけで
差別されていたのです。


ロマ人は、かつては
ジプシーとよばれて
各地で差別を受け、
土地を追われて、
移動生活をしいられてきた
歴史を持つ民族です。

一口にロマ人といっても、
いろいろな国や地域で暮らしていたり、
使っている言葉の種類も
さまざまだったりして、
定義がとても難しいようです。


前回ご紹介した
『ラミッツの旅』の主人公ラミッツは、
コソボからスウェーデンに逃れてきた
難民のロマ人でした。

一方のカティッツィは、
もともと古くから
スウェーデンに暮らしていたロマ人です。

でも、
ラミッツもカティッツィも、
共にロマ人という理由で、
住む場所を追われたり、
学校に通えなかったりと、
差別を受けてきたのです。


このカティッツィのおはなしは、
作者の子ども時代の
出来事がもとになっています。

作者のカタリーナ・タイコンさんは、
1932年にスウェーデンに生まれ、
カティッツィのように
差別を受けて過ごしてきました。

自分の子どもが生まれると、
ロマの人々の待遇を改善し、
他の人と同じように
暮らせる権利を獲得するため、
たたかいはじめます。

そして書かれたのが、
カティッツィの物語でした。

ロマに対する見方を
変えてもらおうと、
子どもたちに向けて書かれた
カティッツィの物語は、
1969年から1980年までつづく、
13冊にもおよぶシリーズとなりました。


この本の力もあって、
スウェーデンでは、
もともとこの地に
住んでいたロマの人たち
(つまり、カティッツィたちのような)
に対する差別や偏見は
だいぶなくなっているようです。

しかし今、
ルーマニアや
ブルガリアなどからやってくる
ロマの物乞いたちの数が
どんどん増えていることが
問題になっています。

町を歩けば、
大勢の物乞いたちが
路上や駅、広場、スーパーの前などに
座って紙コップをさし出し、
物乞いをしている姿が目にとまります。

彼らは自分たちの国で
ひどく差別され、
他の豊かな国々で物乞いをした方が
まだ暮らしていけると、
スウェーデンなど、
ヨーロッパの国々へやってきています。

オスロにて。手前に見えるいすに、先ほどまで物乞いらしき人が座っていました。
(写真:オスロにて。
手前のいすには、
さっきまで物乞いらしき人が、
足もとに空きびんを置いて
座っていました。)


路上にあふれる物乞いたちを
禁止するべきだという
意見も出てきました。

昨年11月には、
南スウェーデンで、
テント暮らしをしていたロマの人々が
立ち退きを命じられたことが
ニュースになりました。

ロマ人を支援している多くの人々が、
デモを行い、抗議をしましたが、
立ち退きにしたがわない人たちは、
警察によって
強制退去させられることに
なってしまいました。

彼らは母国へも帰れず、
行き場を失ってしまうと
批判が多発しています。


次回は、そんなロマの人たちを
おはなしで助ける、
ユニークな試みをご紹介します。


次回の更新は、
2月末の予定です。




(本の表紙およびさし絵の写真は、出版社およびイラストレーターの許可を得て掲載しています。)
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テーマ : 本の紹介
ジャンル : 学問・文化・芸術

プロフィール

きただい えりこ

Author:きただい えりこ
スウェーデンに留学し、児童文学と文芸創作を学ぶ。
現在は、スウェーデンの絵本・児童書の翻訳と紹介にたずさわる。
スウェーデン児童文学翻訳家。
よみうりカルチャー荻窪教室「絵本で学ぶスウェーデン語」講座講師。
日本の絵本・児童書をスウェーデン語に翻訳し、スウェーデンで紹介もしている。

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