- 2016-02-24 :
- 読み物(小学校高学年~)
本でできる人助け
前回は、
ロマ人の女の子のお話を通して、
ロマの人たちが
どのように扱われてきたかについて
ご紹介しました。
ジプシーや物乞いと言われて、
いわれのない差別を受けてきた
ロマの人たちは、
実は、第二次世界大戦中、
ナチスによって、
ユダヤ人とともに
はげしい迫害を受けた
という歴史もあるのです。
そのような、
今まであまり知られていなかった
歴史に焦点を当てた作品が
"Sofia Z-4515"
(「ソフィア Z-4515」
Gunilla Lundgren・Sofia Taikon・
Amanda Eriksson 作
Folk är Folk社)

第二次世界大戦終結から
60年がたった2005年、
この本の主人公ソフィアさんは、
自身の波乱に満ちた人生を、
孫に語ってきかせます。
その話を、
作家のグニッラさんとアマンダさんが
コミック風に仕上げました。
1933年、ヒトラーが台頭してくると、
各地に強制収容所がつくられ、
ユダヤ人やロマ人、障がい者、同性愛者などが
迫害を受けました。
ユダヤ人は、
服に黄色い星のマークをつけられ、
ロマ人は黒い逆三角のマークと、
蔑称であるジプシーの頭文字Zのついた
腕章をつけさせられました。
ロマ人であるソフィアたち一家は、
何とか隠れていたのですが、
とうとう見つかってしまい、
アウシュビッツにある強制収容所に
送られることになりました。
アウシュビッツには、
ジプシー専用の収容所があり、
ソフィアたちも
そこに押し込められてしまいます。

↑ 腕にジプシーの頭文字Zと
番号を刻まれるソフィア
当時、ソフィアは8歳でした。
まだ若くて元気のあるソフィアは、
やがて別の収容所に移され、
家族とはなればなれになってしまいます。
家族の他のみんなは、
その後、毒ガスによる
大量虐殺の犠牲となりました。
歴史的にはあまり知られていませんが、
ロマの人たちもユダヤ人たちと同じように
大勢が殺されたのです。
しかし、どれほど多くの
ロマ人が犠牲になったかは、
ユダヤ人ほどはっきりしません。
ロマ人たちは自分の出自を
隠そうとしていたため、
数を正確に把握するのが難しいようです。
第二次世界大戦も終わりに近づいたとき、
中立国だったスウェーデンが、
強制収容所にいる人たちを助けようと
動き出しました。
スウェーデンから
「白バス」とよばれるバスが、
戦地を通って助けにやってきたのです。
ソフィアもこのバスに乗って、
スウェーデンに逃れることができました。

↑ 担架に乗せられて白バスに運びこまれる、
弱りきったソフィア
白バスによって、
約1万5千人の命が救われました。
こうしてスウェーデンに
やってきたソフィアは、
スウェーデンで新しい人生を
歩みはじめたのです。
残念ながら、
本が出版される直前に
ソフィアさんは亡くなられたそうです。
しかし、彼女の物語は、
私たちに重い事実へ目を向けさせ、
考える機会を与えてくれるだけでなく、
現在、路上で物乞いをするしかない、
苦しい生活をしいられている
多くのロマの人たちにとっても、
大きなチャンスを与えています。
実は、この本は、
路上で物乞いをしている
ロマの人たちによって
売られており、
その売上げの75%が、
彼らに支払われています。
ロマの人たちへの差別について伝え、
彼らに対する理解を深めると同時に、
彼らが自立できるしくみを
つくっていくことこそ、
ほんとうの意味での支援に
つながるのではないでしょうか。
物乞いではなく、
自分たちの働いたお金で
暮らせるようなしくみをつくる、
このような取り組みが
広がっていくとよいですね。
次回の更新は、3月末の予定です。
(本の写真は、作者の許可を得て掲載しています。)
ロマ人の女の子のお話を通して、
ロマの人たちが
どのように扱われてきたかについて
ご紹介しました。
ジプシーや物乞いと言われて、
いわれのない差別を受けてきた
ロマの人たちは、
実は、第二次世界大戦中、
ナチスによって、
ユダヤ人とともに
はげしい迫害を受けた
という歴史もあるのです。
そのような、
今まであまり知られていなかった
歴史に焦点を当てた作品が
"Sofia Z-4515"
(「ソフィア Z-4515」
Gunilla Lundgren・Sofia Taikon・
Amanda Eriksson 作
Folk är Folk社)

第二次世界大戦終結から
60年がたった2005年、
この本の主人公ソフィアさんは、
自身の波乱に満ちた人生を、
孫に語ってきかせます。
その話を、
作家のグニッラさんとアマンダさんが
コミック風に仕上げました。
1933年、ヒトラーが台頭してくると、
各地に強制収容所がつくられ、
ユダヤ人やロマ人、障がい者、同性愛者などが
迫害を受けました。
ユダヤ人は、
服に黄色い星のマークをつけられ、
ロマ人は黒い逆三角のマークと、
蔑称であるジプシーの頭文字Zのついた
腕章をつけさせられました。
ロマ人であるソフィアたち一家は、
何とか隠れていたのですが、
とうとう見つかってしまい、
アウシュビッツにある強制収容所に
送られることになりました。
アウシュビッツには、
ジプシー専用の収容所があり、
ソフィアたちも
そこに押し込められてしまいます。

↑ 腕にジプシーの頭文字Zと
番号を刻まれるソフィア
当時、ソフィアは8歳でした。
まだ若くて元気のあるソフィアは、
やがて別の収容所に移され、
家族とはなればなれになってしまいます。
家族の他のみんなは、
その後、毒ガスによる
大量虐殺の犠牲となりました。
歴史的にはあまり知られていませんが、
ロマの人たちもユダヤ人たちと同じように
大勢が殺されたのです。
しかし、どれほど多くの
ロマ人が犠牲になったかは、
ユダヤ人ほどはっきりしません。
ロマ人たちは自分の出自を
隠そうとしていたため、
数を正確に把握するのが難しいようです。
第二次世界大戦も終わりに近づいたとき、
中立国だったスウェーデンが、
強制収容所にいる人たちを助けようと
動き出しました。
スウェーデンから
「白バス」とよばれるバスが、
戦地を通って助けにやってきたのです。
ソフィアもこのバスに乗って、
スウェーデンに逃れることができました。

↑ 担架に乗せられて白バスに運びこまれる、
弱りきったソフィア
白バスによって、
約1万5千人の命が救われました。
こうしてスウェーデンに
やってきたソフィアは、
スウェーデンで新しい人生を
歩みはじめたのです。
残念ながら、
本が出版される直前に
ソフィアさんは亡くなられたそうです。
しかし、彼女の物語は、
私たちに重い事実へ目を向けさせ、
考える機会を与えてくれるだけでなく、
現在、路上で物乞いをするしかない、
苦しい生活をしいられている
多くのロマの人たちにとっても、
大きなチャンスを与えています。
実は、この本は、
路上で物乞いをしている
ロマの人たちによって
売られており、
その売上げの75%が、
彼らに支払われています。
ロマの人たちへの差別について伝え、
彼らに対する理解を深めると同時に、
彼らが自立できるしくみを
つくっていくことこそ、
ほんとうの意味での支援に
つながるのではないでしょうか。
物乞いではなく、
自分たちの働いたお金で
暮らせるようなしくみをつくる、
このような取り組みが
広がっていくとよいですね。
次回の更新は、3月末の予定です。
(本の写真は、作者の許可を得て掲載しています。)
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