FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

本でできる人助け

前回は、
ロマ人の女の子のお話を通して、
ロマの人たちが
どのように扱われてきたかについて
ご紹介しました。

ジプシーや物乞いと言われて、
いわれのない差別を受けてきた
ロマの人たちは、
実は、第二次世界大戦中、
ナチスによって、
ユダヤ人とともに
はげしい迫害を受けた
という歴史もあるのです。

そのような、
今まであまり知られていなかった
歴史に焦点を当てた作品が

"Sofia Z-4515"
(「ソフィア Z-4515」
Gunilla Lundgren・Sofia Taikon・
Amanda Eriksson 作 
Folk är Folk社)

表紙


第二次世界大戦終結から
60年がたった2005年、
この本の主人公ソフィアさんは、
自身の波乱に満ちた人生を、
孫に語ってきかせます。

その話を、
作家のグニッラさんとアマンダさんが
コミック風に仕上げました。


1933年、ヒトラーが台頭してくると、
各地に強制収容所がつくられ、
ユダヤ人やロマ人、障がい者、同性愛者などが
迫害を受けました。

ユダヤ人は、
服に黄色い星のマークをつけられ、
ロマ人は黒い逆三角のマークと、
蔑称であるジプシーの頭文字Zのついた
腕章をつけさせられました。

ロマ人であるソフィアたち一家は、
何とか隠れていたのですが、
とうとう見つかってしまい、
アウシュビッツにある強制収容所に
送られることになりました。

アウシュビッツには、
ジプシー専用の収容所があり、
ソフィアたちも
そこに押し込められてしまいます。

Z-4515のいれずみ

↑ 腕にジプシーの頭文字Zと
番号を刻まれるソフィア


当時、ソフィアは8歳でした。
まだ若くて元気のあるソフィアは、
やがて別の収容所に移され、
家族とはなればなれになってしまいます。
家族の他のみんなは、
その後、毒ガスによる
大量虐殺の犠牲となりました。

歴史的にはあまり知られていませんが、
ロマの人たちもユダヤ人たちと同じように
大勢が殺されたのです。

しかし、どれほど多くの
ロマ人が犠牲になったかは、
ユダヤ人ほどはっきりしません。

ロマ人たちは自分の出自を
隠そうとしていたため、
数を正確に把握するのが難しいようです。


第二次世界大戦も終わりに近づいたとき、
中立国だったスウェーデンが、
強制収容所にいる人たちを助けようと
動き出しました。

スウェーデンから
「白バス」とよばれるバスが、
戦地を通って助けにやってきたのです。

ソフィアもこのバスに乗って、
スウェーデンに逃れることができました。

白バス

↑ 担架に乗せられて白バスに運びこまれる、
弱りきったソフィア

白バスによって、
約1万5千人の命が救われました。

こうしてスウェーデンに
やってきたソフィアは、
スウェーデンで新しい人生を
歩みはじめたのです。


残念ながら、
本が出版される直前に
ソフィアさんは亡くなられたそうです。

しかし、彼女の物語は、
私たちに重い事実へ目を向けさせ、
考える機会を与えてくれるだけでなく、
現在、路上で物乞いをするしかない、
苦しい生活をしいられている
多くのロマの人たちにとっても、
大きなチャンスを与えています。

実は、この本は、
路上で物乞いをしている
ロマの人たちによって
売られており、
その売上げの75%が、
彼らに支払われています。

ロマの人たちへの差別について伝え、
彼らに対する理解を深めると同時に、
彼らが自立できるしくみを
つくっていくことこそ、
ほんとうの意味での支援に
つながるのではないでしょうか。

物乞いではなく、
自分たちの働いたお金で
暮らせるようなしくみをつくる、
このような取り組みが
広がっていくとよいですね。


次回の更新は、3月末の予定です。



(本の写真は、作者の許可を得て掲載しています。)
スポンサーサイト

テーマ : 本の紹介
ジャンル : 学問・文化・芸術

お知らせ

昨年12月の記事にて紹介しました
"Ramiz resa"(「ラミッツの旅」)
の翻訳が刊行されました。

ラミッツの旅 表紙

『ラミッツの旅 
ロマの難民少年のものがたり』

グニッラ・ルンドグレーン 作
アマンダ・エリクソン 絵
きただい えりこ 訳
さ・え・ら書房

ブログでも取り上げました、
難民やロマの人々について、
より理解が深まると思います。

ご興味のある方は、
ぜひ読んでみてください。



(本の表紙の写真は、出版社の許可を得て掲載しています。)

テーマ : 本の紹介
ジャンル : 学問・文化・芸術

プロフィール

きただい えりこ

Author:きただい えりこ
スウェーデンに留学し、児童文学と文芸創作を学ぶ。
現在は、スウェーデンの絵本・児童書の翻訳と紹介にたずさわる。
スウェーデン児童文学翻訳家。
よみうりカルチャー荻窪教室「絵本で学ぶスウェーデン語」講座講師。
日本の絵本・児童書をスウェーデン語に翻訳し、スウェーデンで紹介もしている。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。